001:組織は無策だと、自然にダメになる

「昔はもっと一丸となっていたのに、最近は社内の空気が重い……」
「売上は上がっているはずなのに、なぜか現場でトラブルが絶えない……」
「管理職を立てたのに、結局、自分が現場に出ないと物事が決まらない……」

もしあなたが経営者としてそんな違和感を抱いているなら、
最初にお伝えしたい真実があります。

あなたの組織に起きているその不協和音や停滞は、
どこの会社でも発生する「自然現象」です。
組織というシステムには、物理法則のように、
「人数が増えるだけで」、あるいは「商売が順調に進むだけで」、
放っておくと徐々にまとまりを失っていく傾向があります。

今回は、なぜ社員が増えるほど、組織はまとまらなくなるのか
といった、「見えない構造の変化」についてお話しします。


1.15人までが「最強」だった本当の理由

創業期、社員は社長含め2~3名。大変だけどやりがいのある時期です。
そして15人くらいまでの時期、会社は驚くほど一丸となって動けます。
すべての社員が一体として動けるのは全員が
「社長のスパンオブコントロール(管理限界)」の範囲内にいるからです。

15人前後までは、社長が比較的直接関わりやすい規模です。
仕事の進捗はもちろん、部下のプライベートの悩みや、日々のやる気の変化まで、
社長が直接見て、しっかりと面倒を見てあげられる。

 だからこそ、社長が言うことは末端の社員まで正しく伝わり、
社員は「会社は自分を見てくれている」という安心感の中で、
全力を尽くすことができるのです。

2.人が増えると大きくなる組織リスク

しかし、社員数が15人を超え、30人、50人、100人と増えていくと、
物理的に社長一人の目で全員を見ることはできなくなります。

ここで組織は、必然的に「中間管理職」を設けざるを得なくなるのですが、
このあたりから、組織運営の難易度が一気に上がります。
社長と社員の間に「管理職」というレイヤーが挟まることで、
それまで直結していたパイプが詰まり始めます。
社長の意志や情熱は現場に届かなくなり、
現場の本当の気持ちも社長には伝わらなくなります。

事業が拡大し、人数も増えて、会社は成長しているにもかかわらず、
社員は会社(社長)のことを、会社(社長)は社員のことを、
次第にお互いに信じられなくなっていくのです。

現場の実情がわからない社長は徐々に「裸の王様」になり、
社員は「どうせ上はわかってくれない」と拗ね、
自らの保身や狭い範囲の正義で動くようになります。

3.形骸的なリーダーという「詰まり」

この断絶に橋渡しをすべきなのが中間管理職ですが、
多くの中小企業では彼らが「形骸化」しています。

実務ができる人をそのままリーダーに据えたものの、
彼らは「管理職としての正しい在り方」を一度も教わっていないからです。

多くの中小企業では、 社長自身も中間管理職の経験がないことが多く、
教え方も手本も示せません。

結果として、リーダーは一番忙しいプレイヤーとして走り回り、
部下の心を見る余裕も、社長の意志を翻訳する能力も持たないまま、
自己流のリーダーとなり、組織の血流を止めてしまうのです。

4.「儲かっている」という恐ろしい麻薬

さらに組織の弱体化を進めるのが、「事業が順調である」という事実です。 
強い商品や商流があれば、組織がガタガタでも利益は出てしまいます。

しかし、この利益こそが、構造的な欠陥を隠す「麻酔」となります。

変化する気のない社員でも、給与が払えてしまう。
他責の管理職でも、波風を立てずにいられる。

こうして組織リスクが沈殿したまま、状況が変化し、商品の寿命が尽きたとき、
そこには変化に対応する力を失い、
お互いを信じられなくなった脆弱な集団だけが残されることになります。

利益が出ているなら、次は組織づくりです

管理職が動かないのも、組織に一体感がないのも、
人の資質の問題ではなく「組織」の問題です。

今の社内の重苦しさは、これまでの「社長一人の目」に頼った経営が
限界に来た証拠であり、あなたの会社が「組織力経営」へと
脱皮すべき時期に来たことを教える前向きなサインです。

組織は放っておけば劣化します。
だからこそ、誰が何を担うか、
私たちの会社はどこを目指すのか、
何を重要視するのかといった「定義」と
それを教え込む「教育」が必要になります。

次回からは、この断絶した信頼を取り戻し、
バラバラのエネルギーを統合するための具体的な方法についてお話ししていきます。


【組織劣化診断】貴社の組織は「自然な劣化」が始まっていませんか?

以下の項目の中で、心当たりのあるものにチェックを入れてみてください。

  • [   ] 15人の壁: 社員が15人を超えたあたりから、一人ひとりの顔が見えにくくなった。
  • [   ] 信頼の断絶: 社長は「社員が何を考えているかわからない」と感じ、社員は「社長は現場をわかっていない」と言っている。
  • [   ] 名ばかり管理職: リーダーが実務に忙殺され、部下の「やる気」や「私生活」をケアできていない。
  • [   ] 教育の不在: 管理職に「あるべき姿」を教える機会がなく、各々が自己流で動いている。
  • [   ] 成功の罠: 利益は出ているが、社内に「変革しよう」という危機感が全くない。

診断結果のフィードバック
3つ以上当てはまる場合は、
組織運営の仕組みを一度見直してみる価値があるかもしれません。

今こそ、社長の目に代わる「仕組み(定義)」と、
社長の意志を継ぐ「教育」が必要です。


組織は「定義と教育」で必ず再生できます。
まずは、どこにボトルネックがあるのかを正しく見極めることから始めませんか?

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