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中小企業のための人材育成プログラム 第23回Webinar
組織コンサルの会、月例ウェビナーを開催しました。
今回のテーマは「中小企業のための人材育成プログラム」です。
前回、前々回のウェビナーに続き、企業内の教育・人材育成を議論しました。
前回、前々回の動画はこちらから↓
第21回「管理職研修の全体像」
第22回「入社3年目までの教育体系」
中小企業における人材育成は、企業の成長と競争力向上に不可欠な要素です。大企業に比べて資源や予算が限られている中小企業では、より効果的な人材育成プログラムを構築し、効率的に社員のスキルアップを図ることが求められます。
短期的な視点で言えば、とにかく早く実務を覚えてもらうことが優先するでしょう。比較的人件費の低い社員が、早く一人前の仕事をできるようになってくれれば、企業にとっては一番生産性が高くなります。
だからこそつい、現場では実務能力の指導だけを行ってしまいがちです。「言われた仕事だけできればそれでいいのだ」という風に思う若者を作っているのは、実は、“業務指導しかしていない”、教えている側なのかもしれません。
企業が人材育成に力を入れる理由は、実務能力の向上だけではありません。一人前の立派な社会人になること、他人を動かし組織で成果を出せるリーダー力を身につけることも、企業の望むことです。
教育する側の上司や先輩は、業務指導と同じくらいに、もしかするとそれ以上に、部下や後輩の“仕事の基礎能力向上”“リーダーシップトレーニング”に力を注いでほしいと思います。
そのような、内面指導、あり方教育に着目した、仕事の基本的な能力向上を目的とした「入社10年目までの人材育成の流れ」の具体例を下記のように表現してみました。
1~3年目までの新人時代には、とにかく働く社会人としての基本的なマインドセットを身につけることから始めます。懸命に働き、成長する意欲をもって学び、失敗も含めて経験することで社会を学び、周囲の信頼を勝ち得ることが大切です。座学での講義も多くなりますが、同時に、共に働く先輩や上司の存在が、この時期にはとても重要です。
愛をもって厳しく指導してくれる良い先輩に巡り合えたら、良い社会人人生を歩んでいくことができるでしょう。
4~6年目の中堅時代は、座学よりも実践で学んでいくことが多いでしょう。新人時代に学んだ「働いて成果を出せば会社も大きくなり、自分自身も評価されれば、給料もあがるのだ」ということを実践していく時期です。どんどんとチャンスを与えることで、試練や苦難から学び大きく成長します。
28歳の壁と言われるように、20代後半から30代前半にかけて、好奇心から転職を希望する人も多いのがこの時期です。まさに“隣の芝が青く見える”という状況に陥る人が増えてきます。
見るなと言えば見たくなるのが人情です。他社の方が魅力的に見えても仕方がありません。「せっかくここまで育てたのに。やっと一人前になったのに。」手塩にかけた新人が、ようやく成長したと思ったら転職してしまう。最近よく耳にします。それでも会社は人材育成を諦めてはいけません。
辞めてもいい、一度外を見てそれから戻ってきてもいい。戻ってきたときに、「自分を成長させてくれるいい会社なのだ」とわかってもらうような、そんな会社であることが、何よりも大切なことです。中小企業では、出戻り社員はよくある話です。
7~10年目は、管理職の基礎を学びます。いままで考えたことのなかった視点を学び、会社側の目線に立って仕事をしていくのです。座学も含めて、一番勉強しなけれなばならないのはこの時期かもしれません。
組織コンサルの会では、主なものだけでも22の講座を用意して、各階層の研修に使用しています。特に、中途入社の社員には必ず、「新人教育」の話から始めます。前の会社ではおそらく、本質的な「社会と会社の歩き方」を学んでいないからです。
各階層で学ぶことを定義することは同時に、中途入社の社員に求めるスキルを定義することにもなります。ほとんどの人は、新人時代に学ぶべきマインドセットを身につけていません。カリキュラム構成、プログラムの構築が必要な理由はここにあります。
人材育成がうまくいかない2つの理由
このように教育プログラムを用意しても、それだけでは思うようにいかないのが人材育成です。これには大きく2つの理由があると思っています。
1つは、学んだことと現場とがあまりにも乖離していることです。
研修を受けているときは、「確かにそうだ」「そういう考え方をしないといけない」というように気づきがあり、成長しようという意欲が高まります。
しかしすぐに、目の前の現実に直面し、ギャップを感じてしまうのです。
意欲をそぐような周囲の社員、見本にならない上司や先輩、納得のいかない自社の商品やサービス、納得のいかない仕事のやり方を押し付ける会社の仕組み。
人材育成のプログラムを受けて成長していくことができれば、自分自身が十分に力を発揮できる環境があること。評価と報酬に納得感があり、まだまだ成長させてくれるような育成環境があること。
人材育成プログラムにはこれがセットでなければ機能しません。つまり、会社自体が“いい会社”でなければ、うまくいかないのです。
2つ目は、人材育成の方針や人事方針、組織戦略が、その会社の儲かる仕組み、つまり事業戦略と結びついていないことです。
これは最近よく言われることですが、簡単に言えば、社員全員が人材育成プログラムの通りに学び、求める人材像の通りに成長しても、会社が儲かるようにはならないということです。
会社が儲かるために、戦略を実現するために、目的を達成して利益を得るために、人材育成は存在します。
こうすれば勝てる、こうすれば儲かる、そしてそれにはこんな社会的な意義がある。というような、「戦い甲斐のあるビジョンと戦略」を会社が掲げ、その実現には自社にはこんな人材が必要である、と定義されているからこそ、会社は社員に“そうなること”を求められるのです。
一般的に“いい社会人”になることを強要されても、社員はあまり納得しません。得があるように思えないのです。
前述のように、組織コンサルの講義一式には、「人を動かす技術」や「人を育てる技術」といったマネジメント力を身につけるための講座もありますが、「営業の基礎」「マーケティングの基礎」「事業開発の基礎」といった“商売の基本”を身につける講座を用意しています。
これは営業部だけにお伝えする講座ではありません。バックオフィスの方々にも、基本的な会社の儲かる仕組みとして理解してもらいます。
どうすれば会社が儲かるのか、ということを理解せずにはどの部署でもいい仕事はできないと思うのです。
人事部長の役割
労働人口が減り、賃金も上がり、中途半端な中小企業は、ますます社員を採用できなくなります。
それでも会社を継続させるためには、今以上に「いい会社」を作らなければなりません。具体的には、
1.儲かっていて、報酬がいいこと
2.度を超えるストレスがないこと
3.全社員の幼児性が低く、仲間意識が高いこと
このような会社であれば、社員が辞めないのではないかと考えています。
2のストレスや負荷の調整、3の全社員教育は、今でも人事部の大きなテーマだと思います。しかし、1についても積極的に人事部が絡み、会社作り、組織作りをしていく必要があるのではないかと思うのです。
人事関連の役職者、責任者が、事業戦略の達成を第一に考えて、その為の組織戦略・人事戦略を考えられる組織は強いです。
人材育成プログラムを用意するだけでなく、育成の施策は統合的であるべきですし、事業戦略の実現に結びついている必要があります。今後の人事部長は、人事の枠を超えて、会社組織全体に意見ができる存在であることが求められるのではないでしょうか。
社員に必要な能力とは
どんな狙いで、どのくらいのスパンで人材育成を考えるべきなのでしょうか?というご質問をいただくことがありますが、人材育成には終わりはありません。これで完成ということは決してないと思っています。社長になってもまだまだ成長が必要です。
そして、何を狙いにするかは会社ごとに違ってきます。その会社の儲けの仕組みは会社ごとに違うので、当然社員に求めるものも変わってきます。
それでも8割の中小企業の人材育成の狙いは同じです。違うのは2~3割と言ってもいいでしょう。社員の幼児性をなくし、管理職の教育力、現場の実行管理力、事業の企画力を高めることが、どの会社にとっても重要になってきます。
厳しい時代を生き残っていくためにも、社員一人一人の成長だけでなく、会社自体の成長・変革も必要です。
全員が会社や仲間に貢献し、一致団結して協力して目的を達成するという、日本企業の強みを十分に生かした組織作りで、多くの企業が発展していくことを願っています。
ご意見やご要望、組織作りについてのご相談などありましたら、
お気軽にお問い合わせください。
http://soshiki-consul.com/inquiry/
■第23回Webinar「中小企業のための人材育成プログラム」
2023年4月24日 19:30~20:30
ホスト:組織コンサルの会 代表 駒谷 誠
司 会:渡辺 俊輔
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